パラソーシャル(関係)とは
「パラソーシャル(関係)」とは、テレビやYouTubeでよく見る有名人やキャラクターと、まるで本当の友達のように感じる関係のことです。 たとえば、好きなYouTuberがいると、その人の動画をたくさん見て、まるでその人をよく知っているかのように感じるかもしれません。でも実際には、そのYouTuberは私たち一人一人を直接知っているわけではありません。このような一方的な関係が「パラソーシャル関係」と呼ばれます。
このような関係は、テレビやSNSで人気のある人を応援したり、親しみを感じたりするときに自然に生まれるものです。
深刻化するパラソーシャル関係の精神依存
テレビタレントに比べて、YouTuber特にバーチャルタレント(Vtuber)との間には、依存が起こりやすいと言われています。 (依存が起こりやすい理由などの詳細は、別記事に記載します)
ファンはVTuberに強い親近感や愛着を抱きますが、現実の人間関係とは異なる一方通行な人間関係です。しかし、脳は「画面の近さ」そのままで、極めて親密だと誤解してしまいます。
その結果、感情的な依存につながりやすいのです。
VTuberを応援したり、イベントに参加したりすること自体は悪いことではありません。しかし、過度な期待や感情の依存が生まれると、現実とのバランスを崩す危険性があります。
ヴァーチャルタレントのファンに、この問題が急増しているようです。
パラソーシャル精神依存が招く危険、反社会的行為
さらに、現実の人間関係がうまくいかないと感じている場合、現実逃避的にアイドルやタレントに、異常にのめり込みすぎてしてしまうことがあります。
バーチャルタレント(VTuber)に対して過剰な期待を抱きやすいため、その期待が叶えられないときに激しく絶望し、攻撃的な感情、誹謗中傷などの反社会的行為に及ぶ場合もあります。
TVタレントや芸能人に対しても精神依存は発生しますが、バーチャルという特性が悪い方に働き、病的で桁外れなものになっているかもしれません。
また、バーチャルタレント自身が意識的、あるいは無意識的な「疑似恋愛」言動により、ファンを精神依存に追い込んでいる可能性もあります。
「自分は大丈夫」と思い始めた時が、依存(症)のはじまり
SNSやネットを常日頃使用する私たちは、どんなに注意していても、ネット(ネットのコンテンツ)に依存してしまう危険性があります。
何かに熱中すること、適度にのめりこむこと自体は、必ずしも悪いことではありません。
しかし「自分は大丈夫」と思わないことです。
依存(症)は否認の病と言われます。薬物、アルコールやタバコ、ギャンブルと同じで「自分は大丈夫だ」と思い始めた時が、依存(症)のはじまりです。
自分では分かりにくい場合、親や大人、友達に聞いてみるのもいいでしょう。
気をつけていきましょう。
【詳細】
パラソーシャル関係(PSRs)とは
パラソーシャル関係とは、一方向的なコミュニケーションで、視聴者が相手(VTuberなど)に対して親密さを感じるが、実際には相手(VTuber)が視聴者個々人を認識していないという状態を指します。この関係を利用して、視聴者にグッズ購入やスーパーチャット(投げ銭)を促すビジネスモデルは、問題視される場合があります。
VTuber業界・ビジネスモデルが抱える倫理的な問題
誤解を招く関係
パラソーシャル関係による過剰投資 VTuberがファンと個別に繋がっているように見せることで、ファンがより深く感情的にコミットしやすくなり、過度な投資を促す。 精神依存を起こさせる事で、ファンが金銭を大量に投じることが増えるため、経済的に搾取することができる。
パラソーシャル精神依存
大量の長時間配信を行い、ファンの実際の生活に影響を与える。これが中毒症状となり、精神的な健康に悪影響を及ぼす。透明性の欠如
ファンがVTuberとの関係が本質的に商業的なものであり、実際には一対一の関係ではないという点が明確に理解されないまま、誤信させてしまう
社会問題としての認識
VTuberやアイドル産業におけるファン搾取の問題を指摘しており、特に青少年や心理的に脆弱な層が搾取される可能性を懸念しています。
パラソーシャル関係をベースにしたVTuberビジネスモデルが広く社会問題として認識されているかというと、必ずしも大規模な議論には至っておらず、企業などコンテンツ提供者のモラルが問われる状況です。
パラソーシャル精神依存による、世界的にもっとも有名で悲しい事件は、ビートルズのジョン・レノンの事件かもしれません(別記事で掲載します)
法的規制の必要性
現時点では、VTuberやパラソーシャル関係に基づくビジネスモデルに対する明確な法的規制は存在しておらず、検討が急務でしょう
消費者保護: 投げ銭や割高なグッズ販売に対して、未成年や依存傾向のある消費者が経済的に搾取されないようなガイドラインや規制
透明性の確保: VTuberとファンの関係が明確に商業的なものであり、双方向的なものではないことを明示するような規制
青少年・要配慮者への保護: 特に若年層が影響を受けやすいという観点から、未成年に対する販売や投げ銭の制限
その他、依存に陥りやすい背景事情(疾患など)を持つ者に対する規制や制限